外車ちゃん

昔書いたやつもあるよ!

完璧なわがままについて

村上春樹の『ノルウェイの森』という有名な小説に登場するミドリが言う、「私が男性に求めているのは"完璧なわがまま"なの」と。
 
私が求めているのは単なるわがままなの。完璧なわがまま。たとえば今私があなたに向って苺のショート・ケーキが食べたいって言うわね、するとあなたは何もかも放りだして走ってそれを買いに行くのよ。そしてはあはあ言いながら帰ってきて「はいミドリ、苺のショート・ケーキだよ」ってさしだすでしょ、すると私は「ふん、こんなのもう食べたくなくなっちゃったわよ」って言ってそれを窓からぽいと放り投げるの。私が求めているのはそういうものなの。
私は相手の男の人にこう言ってほしいのよ。「わかったよ、ミドリ。僕がわるかった。君が苺のショート・ケーキを食べたくなくなることくらい推察するべきだった。僕はロバのウンコみたいに馬鹿で無神経だった。おわびにもう一度何かべつのものを買いに行ってきてあげよう。何がいい?チョコレート・ムース、それともチーズ・ケーキ?」 私、そうしてもらったぶんきちんと相手を愛するの。
 
女子大生の頃の私は、こういう女の子だったように思う。
 
でも今はもう女子大生ではない。今の私の思う、"完璧なわがまま"はーー
 
わざわざ「ショート・ケーキが食べたい」とは言わない。 なので、もちろん、窓からショート・ケーキを放り投げたりなんかしない。
 
「何がいい?チョコレート・ムース?それともチーズ・ケーキ?」 なんて聞くような男はくだらない男だと思う。
 
私は私の求めるものを、何も言わずに提供してくれる男が好きだ。 それが私の思う、"完璧なわがまま"なのだ。
 
 
女性は若い方が良いとされる社会において、こんなわがままを赦してもらえるには、どのような"人間"になればよいのだろう。